奇跡の5人が欠ける日。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 それはあまりに突然のニュースで、あまりに予想外のことだった。

 

 

 きっと、ももいろクローバーZというグループは永遠に5人でおばあちゃんになっていくんだろうなあ、と夢みたいな物語を信じていたんだろうと思う。

 それは自分だけではなく、多くのファン、きっと彼女たちの身近な人、もしくはメンバー自身も思っていたのかもしれない。それほどまで純真なグループだったと思うし、現に今までもマンガみたいな物語を紡いできたグループだったからだ。

 こんなにあっけなく、しかも1週間後には卒業公演が開かれるなんてどこの誰が信じられるだろうか。しかも所属しているスターダストプロモーションキングレコードとの契約も解除するということなので実質の引退宣言である。サンドウィッチマンじゃないけれど「ちょっと何言ってるかわかんない」って言いたい。今でも理解できない。

 

 

ameblo.jp

 

 

 


これから私は何をするか
具体的には何も決まってません。
逆に何も予定のない日々を
人生で一度くらい過ごしてみたいなと思ってます。


まずは規則正しい生活をして
ゆっくりとした日々を過ごしたいと思います。
今までの22年間で出来なかった普通のことを、少しずついろいろやってみたいです。


そして落ち着いたら、
普通の日常の生活を送りながら
22歳の女の子としての教養や知識をしっかりと身につけられるように励みたいと思います。

 

 

 

 

 有安杏果の公式ブログに記された彼女の言葉。

 こう言っちゃなんだけれど、具体的なことについては何も書かれておらず、こちらが勘ぐろうと思えばいくらでも曲解出来る文章である。

 この文章を見た時にパッと思い出したのは宇多田ヒカルの『人間活動』宣言である。

 

www.utadahikaru.jp

 

 2010年8月9日の日記で彼女はこう記している。

 

 

振り返ると、15才からずっと音楽ばっかりやってきました。「宇多田ヒカル」が音楽に専念できるように、周りから過保護に守られた生活をしてきました。人からは、年のわりには人生経験豊富だね〜なんて言われるけれど、とても偏った経験しかしていません。
この仕事のおかげで普通じゃできないようなことも出来ました。ファンのみんなにも、ずっと一緒にやってきたスタッフにも、とっても感謝してます。
でも、アーティスト活動中心の生き方をし始めた15才から、成長の止まっている部分が私の中にあります。それは、人として、とても大事な部分です。
この12年間、アーティストとしては色んなことにもチャレンジしたし、少しは成長できたと思います。でもこれ以上進化するためには、音楽とは別のところで、人として、成長しなければなりません。
そういう気持ちから、一つ大きな決断をしました!
来年から、しばらくの間は派手な「アーティスト活動」を止めて、「人間活動」に専念しようと思います。

これは「引退宣言」ではありません!でも、「休養」でも「充電期間」でも無いんです。
むしろ熱心に、そして謙虚に、新しいことを勉強したり、この広い世界の知らないものごとを見て知って感じて、一個人としての本当の自分と向き合う期間になると思います。それは「アーティスト活動」とは違う、「人間活動」かな、と。
そしてそれが結果的にはアーティストとしての私の成長につながるはずです。

 

 

 0歳から芸能界で活躍し、モデル、女優、ダンサー活動を経て14歳の時ももいろクローバーに加入し駆け抜けた有安と、父 宇多田照實と母 藤圭子の芸能一家に生まれ、15歳にして『Automatic/time will tell』で衝撃的なデビューを果たし、トップシンガーとして若き日本の歌姫となった宇多田ヒカル、若くしてスターダムに立ったふたりには普通の女の子には経験できない多くのものを得ただろうけど、その代償として普通の女の子が経験する多くのものを諦めなければならなかった。

 自分は有安杏果宇多田ヒカルの両方を真のアーティストだと思ってるので、一生人間として成長するためにはこの決断は有安杏果にとっては必然なんだろうなとは思います。多分、今じゃなくてもいつかは必要な決断だったと。

 

 ただ、心配なのは残されたももいろクローバーZですよね。

 

 2011年に早見あかりが脱退した時も喪失が大きかったけれど、あの時からももいろクローバーZが築き上げた関係性や、育て上げた楽曲たち、何より5人でいることが当然だったももクロのパブリックイメージが崩れていくことが本当に大きい。

 これは有安杏果の脱退だからということじゃなくて、『誰が欠けても成立しない』ということで成り立っていたのがももいろクローバーZという存在なので、そういう意味では本当に『奇跡の5人』だったわけで。

 きっとこの先も納得できることはないだろうけど、このざわついた気持ちをなだめられるのは、自分がももクロ有安杏果を愛してきた心や、彼女たちからもらった愛情、そしてこれからの彼女たちの活躍を見て無理やり納得させるしか無いんだと思う。

 

 

 

 

変幻自在な空に憧れ 
あたしの羽も自由がいい
ほら、心の旋律 羽に乗せて 
今高く高く舞い上がろう
貫く想い 
それはただひとつ
歌いたい、歌いたい 
握ったマイクもう離さない 

歌いたい、歌いたい 
握ったマイクもう離さない

あの夢はかなわない 
あの子にもかなわない
相手と過去は変わらない 
でも変えられる 
自分と未来は

 

 

 彼女がこれからどういう道を歩むのか、多分誰も想像はできないだろうけど、きっといつの日か突然みんなびっくりするような明るい笑顔で返ってくるんだろうなあと思います。

 彼女たちに希望溢れる未来が待っていますように。