アイドル楽曲大賞2018
アイドル楽曲大賞の開催と初雪で冬の訪れを知るタイプの人間です。
どうもこんにちは、僕です。
今年ももうそんな季節ということで、たまにしか更新しない代わりにさほどのボリュームでお馴染みのブログを更新したいと思います。
というか平成最後のせいなのかなんなのか2018年は中堅~ベテランアイドルグループの解散が相次ぎ、ちょっとアイドルを応援する立場としてはしんどい1年でしたが、名曲は絶え間なく生まれ続けるわけで。父さん、僕はそんなわけでこういう企画きっかけでも何でも良いので、報われるアイドルがひとりでも増えれば良いと思ってるわけで。なので今年はさらにランキング選外とかの記載が増えるかもしれないわけで。
というわけで、ここ数日アイドルソング漬けだったおかげで、現在はさだまさしライブアルバムをBGMにブログ更新しています。ではどーぞ。
メジャーアイドル楽曲部門
間もなくグループの平均年齢が30歳になろうかという大人アイドルグループpredia。結成8年というベテランクラスのグループなので存在自体はもちろん知ってたのですが、こと楽曲はというとちょっと大人グループらしい落ちついたセクシーな曲調なものが多かった気がして正直今までがっちりハマることはありませんでした。
だけど去年のTIFあたりからリードボーカルである湊あかねさんの圧倒的な歌唱力が妙に引っかかっていて、そこに来ての今年アルバムのリード曲として発表された『Hotel Sunset』が心にズドンとハマっちまいやがりました。ハマっちまいやがたんですよ、これが。
作曲陣はアイドル界どころかJ-pop界にも欠かせない重要グループになったJazzin' park。今までのprediaのイメージ通り大人っぽい楽曲なんですが、夏のリゾートを想像させるラテン調のサウンドや、中身があるようで何もないバカっぽい歌詞など、ちょっと今までのprediaファンからすると肩透かし食らうような内容だとは思うんですよ。去年Juice=Juiceが発表した『地団駄ダンス』もそうでしたけど、きちんとした実力派のグループがこういうノリの良さに重点を置いたお祭りソングを本気でやると意外な化学反応を起こす事ってあるような気がしてて、普通にかっこいい曲やるよりかっこよくなっちゃうみたいな結果になった成功例だと思います。
蛇足ですけど、この曲のMVが男の夢を具現化したようなサイコーのMVなので皆さん是非。(ちなみに湊あかね姉さんとちゃんころぴー推しです。是非襲われたい)
作詞:栗原暁(Jazzin’park)
作曲:栗原暁、久保田真悟(Jazzin’park)
編曲:栗原暁、久保田真悟(Jazzin’park)
2018年デビューしたスターダスト所属の7人組アイドルグループはちみつロケット。
研修生ユニット3B juniorから1st、2ndシングル同時発売でデビュー、チームしゃちほこを手がけた長谷川ミネヒコがマネージャーに付くなど華々しくデビューしたんですが、スタダの先輩方に比べまだまだ楽曲やキャラクターが弱い印象があってあまり勢いよくスタートできなかった印象が個人的には強かったり。
2枚同時発売のシングルにしても豪華な作家陣&アニメ主題歌タイアップと力入りまくりのバックアップにもかかわらず、肝心な楽曲にフックが弱い気がして結局興味は持てずじまい。
だけどそんな印象が変わったのは今年の夏行われたスターダストプラネット合同で行われた夏フェス「夏S」でのライブ映像だったと思います。絶対的センター雨宮かのんの堂々としたステージング、播磨怜奈のガツガツとした暴れん坊トークスキル、そしてこの『ハニートランポリン』のステージ映えするキラーチューンっぷり、デビューしたばかりの勢いというのもあるでしょうが、ここまで元気いっぱいな楽曲とぴょんぴょん跳ねる振り付けは現場で絶対盛り上がらないわけないし、逆になぜこの曲がカップリングなんだ!という悔しささえ湧いてくるくらいの名曲。
あと迷った挙げ句選外にしましたが、3rdシングルとして発売した『花火と漫画とチョコと雨』が林田健司&CHOKKAKUというかつてのSMAPを支えた黄金コンビを作家陣に迎えた超絶名曲の夏ソングなので、まだまだはちみつロケットから目が離せそうにないです。
作詞:畑亜貴
作曲・編曲:松坂康司
- 3位:EMPiRE / Black to the dreamlight
こちらも2018年デビュー、今やと飛ぶ鳥を落とす勢いのWACK所属のアイドルユニットEMPiRE。
WACK所属ということで安定の松隈ケンタワークスなんですが、従来のBiSやBiSHなどのバンドサウンドとは差別化したデジタル色の強いサウンドは「こういう事もできるのか」と思わず諸手を上げてしまう出来。
WACK所属の全アイドルに言えますが、 やっぱりシングルではなくアルバムでデビューさせたり、ゲリラ発売やビジュアルを制限させたりなど思い切ったプロモーション活動が出来るのはやっぱり楽曲に自信があるからこそだと思うし、破天荒で汚い部分を見せていくアイドルを作っているイメージが強い事務所なのに未だにWACKのオーディションを受ける女の子が絶えないのは、松隈ケンタのラウドな楽曲を力強く歌い上げるBiSHやBiSのような女の子に憧れてのことだろうし、どんどん新グループを作り上げてもちゃんと楽曲を差別化できるチームを持っていることがどんなに強いかということがWACKを見てるとすごい理解できます。
しかしこの曲もアニメタイアップ曲で(しかも少年ジャンプ連載中である少年漫画が原作のアニメ)子供も観るであろうに、全く媚びないMVの世界観。これからどれだけWACKが大きくなろうとも、エログロという軸だけはブレないでほしいと心より願います。杞憂だろうけど。
作詞:beat mints boyz
作曲:松隈ケンタ
編曲:SCRAMBLES
- 2位:私立恵比寿中学 / 熟女になっても feat. SUSHIBOYS
あぁ^~やっぱりエビ中は最高なんじゃぁ^~
と、なっちゃうのもしょうがないくらいの名曲が今年もエビ中に誕生しました。
けどまあ、2018年のエビ中は配信のみの楽曲を除けば『でかどんでん』と椎名林檎トリビュートに参加した『自由へ道連れ』のみと、例年に比べると少なめのリリースペース(アイドル楽曲大賞ノミネートに限ると9曲のみ)。それでも粒ぞろいというか、どれもさすがのクオリティを保っていたエビ中ですが特にこの『熟女になっても feat. SUSHIBOYS』は秀逸の出来でした。
楽曲を担当したのはこれまでのエビ中ワークスの中でもはっちゃけた楽曲を作ることに手表のあるさつき が てんこもり氏。
「熟女になっても中学生 文句ありますか?(ないでーす) 」のフックが歌えるのも中学生アイドルグループとして9年間続けてきた私立恵比寿中学という特殊なグループならではだし、間奏で飛び出すSUSHIBOYSのやんちゃなラップも決して洗練されすぎず良い感じのゆるさも相俟った最高のアクセントになってます。
SUSHIBOYSは2018年、同じくスタダ所属のボーイズラップグループMAGiC BOYZ(現在はHONG\O.JPとして活動中)や、lyrical schoolともコラボし、どの作品でも違う顔を見せるなど幅の広い一面を見せてくれました。それだけSUSHIBOYSが柔軟なスタイルで活動しているのか、はたまたアイドル陣営たちが自分たちとは違った尖った一面を求めているのかはわかりませんが、おそらくそれは両方で、来年はこうしたコラボも含めてさらにアイドルソングと他のジャンルとの垣根が無くなる一年になるのではないのでしょうか。また、そういう流れのトップランナーとしてエビ中が走ってくれることを期待するばかりです。
作詞:SUSHIBOYS、さつき が てんこもり
作曲:さつき が てんこもり
編曲:雲豹
- 1位:sora tob sakana / New Stranger
sora tob sakana/New Stranger(通常盤)「TVアニメ ハイスコアガール」OP
- アーティスト: sora tob sakana
- 出版社/メーカー: ワーナー・ホーム・ビデオ
- 発売日: 2018/07/25
- メディア: CD
- この商品を含むブログを見る
2016年、2017年とアイドル楽曲大賞インディーズ/地方アイドル楽曲部門で上位を総ナメしてきたsora tob sakanaが満を持してのメジャーデビュー!
まあ今さらオサカナちゃんたちの楽曲を語るなんて野暮な気もしますけど、やっぱメジャーデビュー曲、そしてこちらもアニメタイアップ曲をいうことで今までよりはポップな出来に落ち着くかと思いきやそこはマスロック界の異端児、照井順政が今まで以上に暴れまくってくれてます。
やはりアニメタイアップ曲ということもあってすでにそちら方面の初見のファンから新鮮な意見も聞こえてたりはしたんですが、実は去年『宝石の国』というアニメのOPテーマを照井順政が担当していたこともあり、アニソン界にも照井サウンドが根付く気配があったというささやかな伏線があったり。
そんな伏線もありながらリリースされたデビュー曲『New Stranger』。
容赦しないくらいマスロック全開のイントロからしびれちゃうんですが、やはり秀逸なのがサビでの「高く弾くコイン 表と裏」の部分。伸びやかでメロディアスなサビから一転変わって繰り出される違和感だらけのリズムは誰の耳にも引っかかる強烈な印象を残しますし、その後の「戦いはずっと続く」の部分までの疾走感を増す要因ともなっています。
歌詞に関しても、主題歌を担当したアニメ『ハイスコアガール』の題材であるアーケードゲームの用語を引用したり、原作ファンにも楽しんでもらえるように工夫してあったり、どこをどう見てもスキのない完璧な作品に仕上がっています。
グループとしては来年で5年目の活動となり成熟してきた感がありますが、デビューが早かったのもありメンバーもまだまだバリバリのティーンエイジャーだったりするので、これからファンにも想像付かないくらいのとんでもない飛躍もあるんではないでしょうか。
作詞・作曲・編曲:照井順政
- 次点
https://www.youtube.com/watch?v=ERtAI8L3Y5g
はちみつロケット / 花火と漫画とチョコと雨
https://www.youtube.com/watch?v=vmAbZBQFFwY
ばってん少女隊 / 無敵のビーナス
https://www.youtube.com/watch?v=KW0RA2mgYos
欅坂46 / ガラスを割れ!
https://www.youtube.com/watch?v=A2k6ZO6B0A8
=LOVE / 樹愛羅、助けに来たぞ
https://www.youtube.com/watch?v=Qg9344QHJDU&t=9s
インディーズ/地方アイドル楽曲部門
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5位:tipToe. / blue moon.
去年誕生したばかりのアイドルグループtipToe.、メンバーは3年で卒業が決まっているなど、コンセプトやイメージ的にはさくら学園に近いものを感じるグループですが、楽曲の幅的には誕生したばかりのグループとは思えないくらい実験的な作品を多数生み出しており、観ている側としてとても可能性を感じるグループだと思います。
特に3rdシングルとしてドロップされたこの『blue moon.』は悲しげなピアノの旋律が印象的で、初めて聴いたときは思わず「え、こんな曲がアイドル界の片隅に存在していていいの?国歌くらいにまで祀り上げなくて大丈夫?後悔しない?」とくらい思ってしまったくらいのスケール感。名曲っぷり。インディーズで収めておくには惜しいくらいの存在。
メンバーの歌唱力もそれほど高いわけじゃないですが、今年解散したアイドルネッサンスを彷彿とさせるようなメンバー間のバランスの良さ、コーラスワークの絶妙さも相まって、すごく心地良い歌声を生み出していたり、そういった意味ですごい良い楽曲チームがバックアップしてるんだろうなと。
MVにしたって、メジャーシーンでもここまでセンスあるもの作れるチーム数えるくらいしかいないっていうくらい高いクオリティのMVをポンポン放り込んでくるし、知名度的にはどのくらいの存在なのかは分からないですが、もっと騒がれていい存在だと思いますよ。tipToe. 。
作詞・作曲・編曲:aoi kanata
- 4位:あヴぁんだんど / AFTER SCHOOL
AFTER SCHOOL C/W 爆発するロマンス(CD+7inch) [Analog]
- アーティスト: あヴぁんだんど
- 出版社/メーカー: VIVID SOUND / HIGH CONTRAST
- 発売日: 2018/05/23
- メディア: LP Record
- この商品を含むブログを見る
あヴぁんだんどはもう経歴とか関わる人々やメンバーも含めてまさに”サブカルアイドル”と言っていいくらいの存在で、楽曲面に関してもその影響が強く読み取れるんですけど、ここ数作の作品に関しては元NEIL & IRAIZAの松田"CHABE"岳二さんがプロデューサーを務めており、もともと持ってたサブカル基質にさらにポップさをデコレーションしたおかげで音楽マニア歓喜のパーティーチューン量産機となってしまった2018年ど真ん中イケイケのアイドルグループです。
今作『AFTER SCHOOL』もどこかアメリカンポップスの影響を感じさせる強烈なパーティーチューンなんですが、そこにあヴぁんだんどふたりの歌声が乗ることによりカートゥーンのようなイメージを抱かせてくれるのも素敵だと思ってます。初めて聴いたとき、もしセサミストリートが日本で放送していたら主題歌これで決まりじゃんって思っちゃいましたもん。
絶対的な肯定感で埋め尽くした歌詞も素敵で、間奏の「言えよAFTER SCHOOL」あたりは現場でコール&レスポンスしちゃいたくなりますし、思わずライブに行きたくなるような楽曲って絶対アイドルには必要だと思います。
あと個人的にはこの曲を作ったバンドKONCOSが地元出身ってこともあり、より思い入れが深いってのもあります。あヴぁんだんどとKONCOSが出会う世界線に生まれてよかった。
作詞・作曲・編曲:古川太一、佐藤寛
- 3位:・・・・・・・・・ / いくつかの夜、いくつかのさよなら
・・・・・・・・・です。なんて読むのかって?知りません。定まってないそうです。
しかもメンバーの顔ですらポリシックスやシオマリアッチのような目線サングラスで隠しており、もう完全に歌やパフォーマンスで勝負しているようなある意味潔い楽曲派というか。まあそれだけに曲が良くなければ完全無視なんでしょうけど、それにしたって楽曲が良すぎるんだから無視できるわけがない。
一応シューゲイザーやノイズなどの楽曲を中心に活動してたみたいなんですけど、自分が今まで持っていた印象としてはそこまでシューゲを感じる楽曲は少なく、どちらかというと疾走系ギターポップのような割とインディー系のアイドルにはありがちな楽曲が多かった印象なんですね。
だけどこの『いくつかの夜、いくつかのさよなら』はそもそも・・・・・・・・・名義のシングルやアルバムでは無く、『Total Feedback 2018』というシューゲイザーバンドを集めたコンピレーションアルバムに収録された楽曲なんですよ。つまりアイドル・・・・・・・・・というより、シューゲイザーというジャンルを背負った上での・・・・・・・・・『いくつかの夜、いくつかのさよなら』というアイドルソング。
そのためこの楽曲を手がけているのはモノホンのガチシューゲイザーバンドcruyff in the bedroom。割とシューゲイザーって轟音の中でも歌声が埋もれないように女性ボーカルを起用することが多いジャンルだったりするんですけど、こうしてアイドルグループがユニゾンで歌うというのは今まで無かったというか、今やスキマを探すほうが難しいくらい群雄割拠のアイドル界隈でまだその手があったかという発明。こういう楽曲があるからまだまだアイドルソングをディグるのはやめられないんですよねえ。3兆円ほしい。
作詞・作曲:ハタユウスケ
編曲:cruyff in the bed room
- 2位:lyrical school / 常夏(ナッツ)リターン
夏ソングといえばlyrical schoolで、lyrical schoolといえばサマーチューンで、サマーチューンといえばリリスクっていうくらい相思相愛の組み合わせ、そんなリリスクの夏曲が外れるわけがないじゃないですか。そんなこと思ってる初夏に飛び込んだニュース。
リリスク新作にスチャダラパー、思い出野郎、MELLOW YELLOW、Ryohuら曲提供(写真12枚) #リリスク https://t.co/nWCireLjC0 pic.twitter.com/0KcB5djncm
— 音楽ナタリー (@natalie_mu) 2018年4月21日
・・・・・・・・・・・・・・、、、、
これは事件ですよ、事件。いやもちろんリリスクって今までも大物とのコラボはあったりしたけどもスチャが関わってくるとなるとこれはもう事件です。大事件。しかもリリックはBoseとかせきさいだぁの共作、トラックはSHINCOが手がけるとなるとLB界隈もリリスクを無視できない状況になったわけで、もうこのニュースを知った段階からリリスクの新譜を今か今かと待ちわびてたわけです。
そんな中リードトラックとしていち早くドロップされた問題の楽曲『常夏(ナッツ)リターン 』。期待通りSHINCOのぶっといトラックと、どこをBoseとかせきさいだぁが分け合ったかファンならすぐにわかるような憎いリリックと文句のない出来。いや、それ以上の出来で悲鳴をあげるほどカッコいい夏ソングが産声を上げていました。特にリリックには『ついつい流されちまう』(スチャダラパー / サマージャム'95)や、『「じゃ夏なんで」的な展開』(かせきさいだぁ / じゃっ夏なんで)と、両名の代表的なサマーチューンをサンプリングするなどまさに最高のリリスクへの贈り物。
そして意外だったというか、思わぬサプライズだったのはリリスク新体制からの新メンバーであるyuu、hinako、risanoのスキルが驚くほど上昇していたこと。yuuはフックで自慢の歌唱力を存分に披露してますし、hinakoは小悪魔的笑顔を振りまきながらキュートなラップを見せつけ、risanoはハスキーでソウルフルなラップスキルと持ち前のダンススキルで今までになかったリリスク像を作り上げ、三者三様に新生lyrical schoolの新たな戦力となっています。もちろんminan、himeのオリジナルメンバーも高いスキルを披露していますし、5人揃ってまったくスチャダラ、かせきさいだぁのネームバリューに決して負けてない、さすが女性ラップアイドルのトップを走る存在だなと改めて思わせる楽曲じゃないでしょうか。
- 1位:桜エビ〜ず / 灼熱とアイスクリーム
2018年、思いもしなかった確変。
いや、自分は普段エビ中を中心にスタダアイドルを追っかけてたりしてるんでもちろん桜エビ〜ずのことは知っていたんですけど、ちょっと今年の桜エビ〜ずは予想以上に良かった。
初期の桜エビ〜ずはエビ中を始めお姉さんグループの楽曲をカバーするなど、まだまだ”エビ中の研修生的ユニット”を逸脱できない感じでしたが、エビ中の校長が直接手がけるようになったあたりから「脱スタダ宣言」を立ち上げ、ありがちだったカラー分けや、わちゃわちゃした楽曲などのスタダっぽいイメージからかっこいい路線にシフトするという方向転換をし、2018年6月からは12ヶ月連続で新曲をリリースするという驚くべきプロジェクトを発表したりします。
だけどこの12ヶ月連続新曲リリースという作戦が大当たりというか、6月に発表された『リンドバーグ』を皮切りに『灼熱とアイスクリーム』、『まわるまわるまわる』、『Magik Melody』、『おねがいよ』、『グラジェネ』と全てシングルレベルに耐えうる名曲。その中でもこの『灼熱とアイスクリーム』は7月リリースということもあり最高のサマーチューンに仕上がっていて、大袈裟じゃなく今年の夏はずっとこれ聴いてた。もう自分の耳から『灼熱とアイスクリーム』聴こえてくるんじゃないかっていうくらい聴いてたもの。セルフ『灼熱とアイスクリーム』状態。
もうあまりにも好きすぎて、配信で購入したのにもかかわらず後に発売したCDもインストバージョンが収録されていると知った瞬間ポチってしまう始末。(まあ実際はポチろうとしたのにも通販始まってなかったからスタダショップに怒りのメール問い合わせ乱打したわけですけど)
はちロケのときもそうですけど、桜エビ~ずも前述の「夏S」で評価を上げたグループのひとつでもありまして、特に水春と川瀬あやめのふたりはお姉さんグループにも負けないくらいの歌唱力を見せつけ、ももクロの曲をカバーするコーナーでは「D'の純情」を堂々と披露し会場に集まったモノノフたちにも強烈な印象を残しました。
正直、全体の歌唱力としてはまだまだヘロヘロだとは思うんですけど、前述の水春と川瀬あやめの両名が要所要所で締めてくれるおかげで全然聴けるし、他のメンバーもそれぞれ個性あって可愛い歌声なので、聴いていてスゴイ楽しいのは事実なんですよね。
そして今回の肝であるバックトラック。聴いてもらうと分かるんですが、全編ギター×2、ベース、ドラムのみとシンプルな4ピースバンドスタイルで鳴っており、ある意味潔いくらいのバンドサウンド。だけどそう感じさせないくらい爽やかでキラキラした印象を受けるのは余分なものを削ぎ落としギターのバッキング、アルペジオ、シャープなベース、タイトなドラムが際立たせた要因が大きいと思います。ここまでシンプルでカッコいいトラック作れるのは類稀なセンスだと思うし、よほど有名な人が作ったんだと思いきや作曲・編曲を担当したピオーネという方、ググっても桜エビ~ず関連の仕事しか出てこないし、いろんなキーワードでand検索してもほかはブドウの情報しか出てこねえ。ブドウ興味ねえよ。うめえけど。
一体何者なんだ、ピオーネ。桜エビ~ずの今後と同じくらい気になるぞ。
作詞:kiila
作曲・編曲:ピオーネ
- 次点
桜エビ〜ず / リンドバーグ
https://www.youtube.com/watch?v=a8h_vOIaRWo
amiinA / Jubilee
https://www.youtube.com/watch?v=hn36FeH6a-8
https://www.youtube.com/watch?v=b3GlMgKbNnI
RYUTist / 青空シグナル
https://www.youtube.com/watch?v=VMHrMNecU_0
脇田もなり/ TAKE IT LUCKY!!!!
https://www.youtube.com/watch?v=3H-LrKfc_Z8
tipToe. / ハートビート
https://www.youtube.com/watch?v=lXYG19oFotc
東池袋52 / 雪セゾン
https://www.youtube.com/watch?v=VLwmFSevu3k
AH(嗚呼) / とっておきの裏切り
https://www.youtube.com/watch?v=0I_YwJ_w01Y
いぎなり東北産 / 乾杯ニッポン
https://www.youtube.com/watch?v=bZXf2MdFt5I
アルバム部門
- 3位:脇田もなり / AHEAD!
やっぱ脇田もなりという歌手はシティポップを歌うために生まれてきて、早く世間は彼女を”シティポップの女王”として祀り上げるべきだ、と前々から言っているんですが、このアルバムを聴いてちょっとその印象を変えざるを得ないぞと。ちょっと脇田もなりをシティポップだけに縛り付けるのは間違いじゃないのかと考え直さないといけない、そんなアルバムが『AHEAD! 』じゃないかと思っているわけでして。
2年前のソロデビューから、もっと言えばかつて所属していたEspecia時代からシティポップを歌い続けてきた脇田もなりですが、今作『AHEAD! 』にそれに漏れず良質なシティポップを詰め込んだ名盤。ただ、それだけだと前作『 I am ONLY』を超えられないというか、進化した脇田もなりを見せられないという懸念材料もあったりで。だけどそんな不安も吹き飛ぶくらいの伏兵が隠れていました。
9曲目に収録された『LEMON』という曲、この1曲でこのアルバム全体の奥行き、幅、深さが倍増するようなとんでもない1曲ですよ、これ。今までの脇田もなりの歌唱ではない気だるさや色気を全面に出した新境地の脇田もなりを存分に見せてくれます。
こういう幅を見せられちゃうとまだまだ脇田もなりのシンガーとしての新境地を見てみたくなるし、シティポップ以外ではどういう歌声を聴かせてくれるんだろうとこれからのもなりちゃんに期待してしまいます。
- 2位:tipToe. / magic hour
インディーズ/地方アイドル楽曲部門5位の『blue moon.』に続き、tipToe.の1stアルバムをアルバム部門の2位に推したいと思います。まあこのアルバムに『blue moon.』入ってないんですが。
だけどそれ以外にも魅力的な楽曲が多数詰まっていて、2016年デビューのグループなんですが個人的には2018年の新人賞とかあったらぜひ差し上げたいグループです。それくらい新人らしいフレッシュな空気が詰まったアルバムだし、それでいて音楽の幅も感じられる1stアルバムとしては満点なくらい素晴らしい作品だと思います。
あと、このアルバムに収録された『ハッピーフレーバー』という楽曲が本当に大好きで、残念ながらノミネートとしては去年扱いだったので今年の楽曲大賞にはランクイン出来なかったのですが本当に良い曲だと思います。どこか『恋愛サーキュレーション』を彷彿とさせるようなウィスパーに近い歌いかたの可愛らしい楽曲で、「そういえばあれだけ流行った割にはこういう楽曲に続く曲って生まれなかったよな」と考えてしまうくらい盲点を突いた楽曲だと思います。
メンバーの残留が「3年限定」という縛りがあるのでこれからどんどんメンバーの入れ替えがあるグループだとは思いますが、このフレッシュさを保ち続けてくれるか、それとも『blue moon.』のような新境地をどんどん見せてくれるグループになるのか、どう転ぶかわかりませんが2019年も楽しめるグループのひとつであることは間違いないんじゃないでしょうか。
- 1位:lyrical school / WORLD'S END
やっぱりこういうレビューを書いているとどうしても誇張気味になるというか、大袈裟に表現してしまう節があるんですけど、このアルバム、誇張なしの名盤です。今度は嘘じゃないっす(©桜木花道)。
シャッフル機能で当たり前のように音楽を聴くようになってどれくらい経ったかわからないけれど、やっぱそういう生活の中でもたまには街のレコード屋で買ってきたCDを開封して、甘いジュース、もしくは大人ぶって苦めのコーヒー片手に歌詞カードを眺めながら1曲目から最後まで味わうように、焼き付けるように音楽を聴いていた中学生時代の体験ってこの歳になっても辞められるものではなくて、単にそれを諦めていたのは限りある時間を無駄にしたくないというだけの”効率”という言葉に毒された自分のエゴであって、本来はそうしたほうが絶対楽しい体験なはずなんですよ、音楽との出会いって。
そういうことを思い出してしまうほど、この『WORLD'S END』というアルバムが素晴らしくて、OPテーマのような1曲目の『-PRIVATE SPACE- (skit)』から、夜の訪れを感じさせる『つれてってよ』、夜も明けて夏の日差しが飛び込んでくる『夏休みのBABY』、遊び疲れてくたくたになった体に差し込む夕日の色が浮かんでくる『オレンジ』、すっかり暗くなり昼の仲間とは別れ、違う出会いと音楽を求めクラブへと繰り出していく『CALL ME TIGHT』、そのままオールナイトで朝まで踊り続け、世界の終わりまで君と一緒にいることを願うEDテーマのような12曲目の『WORLD'S END』まで、終わりゆく夏を惜しみながら夜→昼→夕方→夜へと時間軸をまたいでいく構成は見事しか言い様がないです。
しかもどれをとっても捨て曲無し、変幻自在のトラックも決して飽きさせないし、5人のメンバーの個性も際立たせながら展開していき、ポップで聴く人を選ばない出来栄えなので、もしかするとヒップホップ未視聴の人に勧めるべき1枚はこのアルバムなのかもしれません。それくらいの名盤。
しかし思えば初期から活動していたメンバーが4人脱退するという危機に扮していた2017年のリリスク、残されたminanとhimeはスキルを磨きながら新メンバーオーディションしてyuu、hinako、risanoに出会い、スチャダラパーやKANDYTOWNなど豪華な客演を迎えた名盤『WORLD'S END』を作り上げ、ツアーファイナルで新木場STUDIO COASTを埋めるなんてこんなに見事なスクラップ&ビルド、ドラマじゃないんだからって思いますよ。
前の体制も好きだったけれど、実際ヒップホップしてるな。って思うのは今の体制のほうがより強く思いますし、何よりアイドルグループでありながら振り付けを廃止したのは素晴らしい判断だったと思います。だって見てて楽しいですもん、自由に動き回りラップする女の子たち。
2019年はもっともっと大きな舞台に立てるでしょうか?もっともっと大きな舞台ではしゃぎ動き回る5人の姿を見ていたいです。世界の終わりを迎えるまで。
- 次点
Negicco / MY COLOR
桜エビ~ず / sakuraebis
963 / 963
眉村ちあき / 目尻から水滴3個、戻る
推し箱部門
熟女になっても推し続ける覚悟は出来てる